和紙と言うとTV等で良く見る手漉き和紙を想像される人が多いと思いますが織り機で織る
には長さが足りません。そこで手で漉くと同じように木の繊維を経(たて)方向に並べて
漉く機械が開発され機械で漉く和紙が一般的になりました。巾や厚みによりますが
長さが20,000mくらいあります。
機械漉きの和紙を1mm~15mm程の巾でカットして和紙を糸として作った織物・生地の事を言います。一般的な和紙織物は和紙に撚糸が掛けられています。撚糸が掛けられた和紙織物は風合いが少し硬い様に感じ弊社は無撚糸で和紙を織る技術を確立し柔らかく和紙の効能を100%生かす和紙織物を作る事が出来ました。日本人が歴史を重ねてこれたのは和紙のお陰なんです。障子紙や襖の和紙には紫外線のカット効果や抗菌作用があります。また風を防ぎ調湿効果もあります。抗菌効果については下段に掲載しています。
紙の歴史から始めると長くなりますので現在の和紙と紙(洋紙)の違いを書いてみます!
紙の材料は木(パルプ)ですよね!これは同じなんです。和紙の場合はパルプ以外に
マニラ麻も材料としています。同じ材料ですが作り方によって洋紙と和紙に分かれるんです
手漉きの和紙は楮(コウゾ)・三椏(ミツマタ)をたたいて繊維に分解して紙をつくって
います。そのため材料の繊維が長いのです。洋紙の場合はくずくずの材料を紙にします。
簡単に言うと材料の加工が違うと言う事です。
和紙生地の説明に必ず出てくる「独特のシャリ感!」
弊社生地(Nekiro)にはシャリ感がありません。一度手に取ってみませんか?
展示会や販売促進会などで多く質問されるのが「洗濯すると溶けませんか?」でした!
その時は「お札(さつ)をうっかりお洗濯したことはありませんか?
「お札はティッシュペーパーの様にくずくずになりませんよね!」と言うと何となくご理解を頂けたのかと思っています。作られた製品に寄りますが天然系繊維の場合基本ドライクリーニングになります。
ご自分で洗う場合は長い時間水に浸けず軽く洗い軽く絞って干して下さい。
タンブラー乾燥を乾くまですると縮む事が有ります。
あまり長く水に浸けるのも良くありません。天然系の繊維や和紙は水を沢山吸いますので
繊維が太って縮んでしまいます。
弊社スカーフ等で少しの縮が気にならない製品では普通洗濯で大丈夫です。
お洗濯の回数が増えると抗菌性も増え増々柔らかくなります。
紙は溶けるとお思いでしょうか?
ティッシュペーパーは溶けると思う人が大半ですよね!ところが溶けていないのです!
手漉き和紙を作るときに繋ぎとしてトロロアオイを使いますよね!ティッシュペーパーを
水に浸けると繋ぎが外れてバラバラになるんです。ティッシュペーパー取り忘れた洗濯もの
紙の材料がいっぱい着いて大変になっています。溶けてなくなるのでしたらあんな風に
ならないはずです!繋ぎが外れた紙の材料が着いて居るのです。
私たちが和紙織物で創業した17年前で和紙をテープ状スリットして撚糸を掛けて和紙生地が出来て30年と言われていたので47年約半世紀の歴史が有る様です。
和紙に撚糸を掛けたことが最大の要因ではないでしょうか?
しかし織物にする段階で撚糸を掛けないと織れなかったのではないでしょうか?撚糸を掛けることが和紙生地の風合を悪くし一般化しなかったのではないかと思っています。また値段が高価でした。最近では一度撚糸を掛けた和紙を戻したり整理加工でストーンウォッシュ加工を施して柔らかくしているようです。
私たちは撚糸和紙の風合がどうしても嫌で無撚糸のまま織れないかと考えNekiroが生まれました。写真は左から1mm・2mm・4mm・10mmでスリットされたものです。
これをこの状態のまま織り込んでいます。
ストーンウオッシュとは洗いをするときに石やゴルフボールを
入れて洗う事です(生地をたたくと言う事です)
若い世代の人は紙を揉むことはほとんど無いと思いますが年齢層が上の人は
用途によって紙を揉んで柔らかくして使っていたと思います。
紙は揉むと柔らかくなるのです。お洗濯は揉むと同じ効果をもたらしてくれて
和紙織物は柔らかくなるのです。!
和紙織物と検索すると必ずシャリ感と
いう言葉が出てきます。弊社のNekiroは
シャリ感がありません。和紙織物らしくない
和紙織物なのです!それは緯糸(よこいと)に
使う和紙の形状によるところが風合いとして
現れます。和紙をスリットして撚糸を掛けると
シャリ感が出ます。私たちはこのシャリ感が
嫌で撚糸を掛けず写真の様な状態で織っています
無撚糸和紙の織物Nekiroは先入観なしで風合いを
確認して頂いても「和紙織物だ!」と言われた
事が有りません。それ程柔らかく風合いが良いのです。アトピーや敏感肌の方に是非お試し頂きたいと思います。
経糸(たて糸)緯糸(よこ糸)すべてが和紙素材の織物です。私たちが和紙織物を作り営業に行くと「和紙100%の方がインパクトが有って面白いよね!20%だと和紙織物とは言えないよね!」と良く言われました。
だけど和紙糸は隣の糸になじまないのです。縫い合わせたところの糸が動いてしまい外れてしまいます。そう滑落しやすいのです。そこで私たちは和紙を20%~50%程にして他の糸と組み合わせる事を選択しました。
それでもアパレルさんには滑落しやすいので防止策をしてくださいね!とお話をさせて頂いています。他社も最近は弊社と同じような混率が多くなっているように感じます。
ところで混率とは何でしょう。1枚の生地に含まれる素材の割合なんですが「重さの比率なのです」和紙は軽いため率で行くとどうしても少ない数値になってしまいます。残念!
お洗濯何回で抗菌作用が消えます。という製品は抗菌剤が塗布されたものです。
また金属系のイオンやナノイオン加工と言うのもあります。
この様な後加工で抗菌性を付けた物と弊社Nekiroの様に後加工無しでも強い抗菌性を有する素材もあります。
上記の試験報告書を見て頂くとわかるのですが10回洗濯すると抗菌性が強くなっています。薬品を浸けずにこの抗菌性は素材の持った不思議な力ですね!
お客様から「この生地に包まれて居たい」「こんな風合いの生地触ったことが無い」などたくさんのお声を頂きます
和紙本来はとても柔らかいのです!本来の姿を引き出す織り方で織られたNekiro
風合だけでなく吸水性・保温性も優れています。
開発当初染色整理加工場へ加工試験に投入しました。もちろん無撚糸和紙生地は初めてですがやってみますと引き受けていただきました。2週間後加工が終わったと連絡を頂きお伺いしたところ穴だらけの生地と対面する事となりました。担当者の方から「お宅の生地は水離れが悪く工程の途中で穴が開いてしまいました」との事
話し合いの結果通常加工の生地(ポリエステル・綿生地)と比べるとNekiroは大量の水を含む事が分かり加工工程を変えてから以後は加工トラブルが無くなりました。
この様に無撚糸で織り上げたNekiroは抜群の吸水力を発揮します。
最近お取り寄せ頂いた方はワイシャツの襟元に入れてお使いの様で10年近く愛用して頂いているとの事でしたサラリーマンの方も良いようです。私も工場稼働の時は頭から汗を
かくタイプでまつ毛に汗がたまる程かきます。目が痛くてたまりません。またズボンのベルトの所がかゆくなります。こんな時弊社のNekiroを使います吸水性が半端なく目の所へ
落ちてきません!かゆみもけいげんされてとても便利です(手前みそですが!)
私はヘルメットは被りませんが頭に巻いて使います!
和紙と言われると何となく手すきの和紙を想像されるのではないかと思いますが和紙にも種類が沢山あります。
先ずは「手すき和紙です」昔からの伝統に基づいて、材料も楮(コウゾ)・三椏(ミツマタ)・雁皮(ガンピ)などで作られています。次に「機械引き和紙です」
材料は木材パルプ・マニラ麻・が主です。さらにマニラ麻とパルプを混ぜた物その混率も様々です。そのほか機械引き和紙はメーカーにより厚みが変わります。こんなにも種類があります。和紙糸もデニールやテックス・番手で表す事もできますが坪量何グラム・スリット巾何ミリと言われることが多いように思いますこれにマニラ麻・針葉樹・古紙など原材料も言います。例マニラ麻坪量15gの和紙と言う具合です
桔梗・蓮・水仙・オオムラサキつつじから抽出した染料で染めたNekiroです。
草木染とは違い媒染作業はありません。ハイブリット染色です。Nekiroが出来た当初この生地だと草木染が良いよね!と言われ色々と調べたのですが草木染の場合色の発色を促すために媒染と言う工程を行います。この工程で金属イオンと触れ合わせて色を出すのです鉄イオンの様に人間の体に存在しているものもありますがそうでないイオンを使わないと出ない色もあり草木染は無理かな?と思いお願いすることはありませんでした。そんな時自然染をしている整理屋さんと出会いNekiroの自然染が誕生しました。
「不思議な生地やな~!」とよく言われます。普通の生地加工では風合いを作るために温度が重要なのだそうです。
和紙生地の場合(撚糸和紙)温度を風合いを作る温度まで上げると、生地がバラバラになるそうです。ところが弊社Nekiroは温度をかなり上げてもバラバラにならなかったそうです。加工屋さんも恐る恐る温度を上げていったそうで「びっくりした~!」と言っていました。
和紙の材料(繊維)の並び方に違いがあります。和紙を拡大すると細い繊維がたてに並んでいます。
このため和紙の製法で作られた紙は、たて方向への引っ張り強度が強いのです。たて方向に裂くと千切れる事無く裂けて行きます。これに比べて再生和紙(古紙)は繊維長も短くたて方向の引っ張り強度が弱いのです。そのため坪量が30g以上ないと撚糸を掛けることが出来ないようです。弊社が試験織したのは坪量が15g・20gでしたが、生地としてみるとかなり柔らかい(バージン和紙も柔らかいのですが!)風合になっていました。販路が確立すればかなり面白い生地が出来上がるのではないでしょうか!
お肌に馴染むNekiro吸水性が良く汗を吸っても冷たくなりにくいです。(超吸水性)
寒い冬には空気を大量に含み温かいNekiro!
猛暑日が続いている今日この頃、弊社にて作っているストレスフリー帽子を水に濡らし水滴が垂れない程度に絞って被ると気化熱でとても涼しくかぶれますよ!
連日30℃越え暑くて寝苦しく軽い熱中症の様な状態が続いています。足の痙攣も起きます!有名旅館の部屋着に採用されている生地でパジャマを作って着てみました。自画自賛ですがさらっとしてとても気持ち良く着ていられます。
メガネを拭く時ティッシュペーパーやハンカチで拭く人が圧倒的に多いと思います。私もそうです。
弊社にとてもきれいになる生地が有るにも関わらずです!先日友人が訪ねてきて「今まで使ってきたメガネ拭きに比べるとこれが一番いいので常に携帯しているんだ!」「滑らないし厚みもちょうど良く油もとれるし!」と言われ目から鱗でした。メガネ拭きやスマホ拭きとして販売したことも有るのですが販売数が伸びず現在は販売していないのですがやはり良いものは良いし使い続けてくれる人もいるのだと再認識致しました。
またコップ拭きにも良いと言う事で京都の酒屋さんでドンペリを買っていただいたお客様にコップ拭きとしてプレゼントしていると聞いています。注文は2年に1度ぐらいですがもう何年も続いています!
弊社Nekiroの染色
和紙・綿・レーヨンは天然系繊維です。染加工で反応染料を用いた反応染・直接染料を用いた直接染め・天然染料を用いたハイブリット染色(自然染)など色々な方法が有ります。
どの染め方を選ぶかはお好み次第だと思います。
現存する最古の和紙は、奈良県の正倉院に保存されている美濃の国の戸籍洋紙です。
西暦702年で約1320年前の和紙です。和紙は1300年も持つのです!
和紙生地は1300年も持ちませんが意外と長持ちするのです。
大きく分けると日本海側と太平洋側で分けられます。
太平洋側は天然系素材・日本海側はポリエステル等の合成繊維と言う感じです!
これは気候・湿度が関係しています。最近は気候変動で変わって来ているかもしれませんが
例えば綿織物などは湿度が無い方が条件としては良くポリエステル等は湿度が適度に無いと
都合が悪いのです!ポリエステルは湿度がある程度無いと静電気が起きて製織に問題が
起きてしまいます。ありすぎても問題が起きてしまいます。ポリエステルの製織に適した
北陸でも季節に寄り湿度の調整の為加湿器や除湿器が必要になります。当然太平洋側も
装置が必要になりますが装置が動く時間が短い所で産地が出来上がりました。
その他シルクや綿の産地の近い所と言うのもあります。
デニムの産地の岡山・ウールの岐阜・ポリエステルの北陸といった具合です!
最近の革新織り機ではあまり差は無くなりましたがポリエステルはウォータージェットで
水を使います。短繊維はエアージェットで空気を圧縮して空気の圧力で織ります。
少し前の機械では経糸を巻いたところから筬(おさ)までの長さが長繊維は長く短繊維は
短く作られていて機械自身の長さが違います。このように産地によって機械も違います。
There are different types of washi!
Raw materials include Manila hemp, pulp and recycled paper
ポリエステル等の糸ではテックス・デニール表示がほとんどです。綿や獣毛など天然系は番手表示です。
テックスは糸の長さが10,000mで何グラム有るかで表しデニールは糸長が9,000mで何グラム有るかで表します。
女性の方はストッキングの表示がデニールだったりテックでなじみが有ると思います。
ちなみにテックス・デニールは数字が大きくなると糸が太くなり番手では数字が大きくなると糸が細くなります。
デジタル化の急速展開に寄り(教科書・処方箋・車検証・その他いろいろ)紙がいらなくなってきた事で製紙会社様から作った紙を衣料展開できないか?と言うお問い合わせが増えています。
ところがこの紙はSDGsに絡み古紙であったり間伐材を使った物などであり、強度が足りず撚糸が出来ないようです。
先日も和紙というより洋紙に近い紙の試験織がありました。この紙を拡大してみると材料の繊維が縦に並んでいないのでとても弱くテッシュペーパーを少し厚くしたようなものでした。経方向にも緯方向にも弱い紙をどう扱うか?試行錯誤の末何とか生地見本を作ることが出来ました。繊維業界や紙業界すべてが変わる時代を頑張って生きましょう!
サステナブル(Sustainable)は、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があります。
地下資源(化石燃料等)は消費し続けるといずれは無くなるものです。今の世界で
これらの物が無くなると私たちの生活はどうなるのでしょうか?
地球の生物がず~と変わりなく生き続けることが持続可能な世界です。
ボタニカルとは「植物由来」と言う事です。
オーガニックとは農薬や化学肥料を使わず生産された農産物の事を言います。
農地に関しても3年間農薬や化学肥料をしていない事とされています。
綿花は虫が付きやすく農薬を使わないと言う事は大変手間のかかる事です。
レーヨンは化学繊維ですよね!と良く言われます。レーヨンは化学繊維に分類されていますが再生セルロース繊維なのです。ボタニカル(植物由来)な繊維です同じ化学繊維の中でも石油由来の合成繊維と違い自然な環境で成分分解し土に還るのです。また絹に似せて1900年代後半に作られました。そのため以前は「人絹」と呼ばれました。(人が作った絹と言う事です)またレーヨンは縮むと言われますが、これには吸水性が影響しています。
驚くことに自重の80%も水を吸うのです。弊社では整理加工であまり張らずかなり縮めた状態で仕上げています。
水を多く吸う事でお腹がいっぱいになった繊維が太ってしまい縮んでしまいます。
欠点かもしれませんが今年の様に猛暑の時には大変便利です。
お洗濯では長く水に浸けず(腹8分)程度で軽く洗い軽く絞って形を整えて干して下さい。これでかなり縮を押さえることが出来ます。少し洗い方を変えると、とても良い繊維です。ボタニカルでサスティナブルです。
通常繊維では長繊維と短繊維に分かれます。長繊維とは糸が構成されるフィラメントの長さが長い物を言う。
短繊維とは綿花の様に繊維の長さが短いものを紡いだ物を言います。その他に長繊維を細かく裁断して紡いだものも短繊維と言います弊社で使用しているレーヨンは長繊維の物を裁断した糸 ステープルファイバーを使用しています
長繊維のレーヨンと短繊維のレーヨンでは性格が少し違います。長繊維のレーヨンは冷感素材で裏地やカバンの内側等に良く用いられています。さらっとしてとても気持ちの良い生地です。短繊維は紡績糸なので冷感感は少ないようです。用途的にはアウターやストール・スカーフが多いように感じます!
化学繊維イコール合成繊維と認識している人がほとんどではないでしょうか?
天然繊維の中に植物繊維・動物繊維が有ります。
化学繊維の中に再生繊維・半合成繊維・合成繊維となります。
天然繊維は成分分解されて自然に還ります。
再生繊維も成分分解されて自然に還ります。
合成繊維は石油由来で成分分解はされません。
最近よく聞くブランデングや有名メーカーブランドなどブランドと言う言葉を良く聞きます
ブランドと言う言葉の始まりは何でしょうか?
元々は家畜に押す「焼き印」なんだそうです。放牧地で自分の家畜であると見分けるための
焼き印マークがブランドと言う言葉の発祥だそうです。
このマークの物は品質に間違いないと言う事で現在はファッション・食べ物などいろいろと
有りますね!
少し前まではカーボンニュートラルと言う言葉が躍っていましたが最近は聞かなくなりました。今開発が進んでいる人工石油や水素燃料とかはカーボンニュートラルの最先端だと思うのですが何故使わなくなったのでしょうか?
私たちの住む能登では周りを見ると必ず小さな山(丘?)が有り多くは杉が植林されていて
広葉樹はかなり少ない様です。私の子供のころは20年~30年で伐採され家の材料として
販売されていました。その繰り返しで植林をして枝打ちをして大きく・まっすぐに育てて
行きます。その過程で酸素を製造するのです。
現在は外材に押され木材は売れなくなり放置されています。枝打ちもされず成長も止まって
います。少し手入れをしようとすると間伐材の処分に困るのが現状です。
杉もこの様な状態なので種の保存の為大量の花粉を飛ばすことになるのです。
グローバルの流れを止める事も出来ませんが少しづつでもまわりの環境を整理することが
出来ないでしょうか?